孤独な私がおしゃべりしたい時間

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フェミニズムは「女のためのもの」じゃないって知ってた?

 

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同じ目線から世界を見るために。

 

 
「最近、自己主張する女が多くてうっぜぇな…」
「"フェミニスト"とかいうブスのお気持ちwwww」
 
 
なんて言葉を目にすること、ありますよね。
 
気付けば「フェミニスト」という言葉自体に嫌なイメージが付きまとって
フェミニスト的主張をする人(フェミニストと自称はしていない)というだけで
叩かれる始末。
 
 
でも、フェミニストって本当に嫌な人たちなのでしょうか? 
女性のためだけのもの?
私はそうは思いません。
 
 
何故なら、フェミニストとは本来
「性別を理由とした差別の改善」を目的とする主張だからです。
 
"女性の権利拡大!!"と捉えられがちですが、
実際には男性に対する性差別も是正の対象なのです。
 
 
今回はジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた-あなたがあなたらしくいられるための29問」(監修:佐藤文香 著:一橋大学社会学佐藤文香ゼミ生一同)を通じて学んだ、「結局フェミニズムって何なの?」ということをご紹介します。
 
 
この本を読めば
フェミニズムは危険な思想だ!!
女性専用車両って男性への逆差別だろ!!」というフェミニストへの怒りは収まると思います。
 
 
また、自分自身の中にあった男性、女性への偏見があらわになり、性別のあり方について考え直すことができます。
 

 

 

 

 

 「ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた-あなたがあなたらしくいられるための29問」はどんな本?

 
タイトルにある「29問」の質問は、一橋大学ジェンダー研究ゼミに所属する学生さんたちが
実際に投げかけられた問いです。
 
 
例えばこんなこと。
・男女平等っていうけど、女性も「女らしさ」を利用しているよね?
フェミニズムって危険な思想なんでしょ?
・どうしてフェミニズムは萌えキャラを目の敵にするの?
・男だって大変なのに、女がすぐハラスメントと騒ぐのって逆差別では?
(引用元:「ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた-あなたがあなたらしくいられるための29問」目次)

 

どれもTwitterなどで一度は見たことがある主張ではないでしょうか?
 
よく見たことのある29問の質問に答える形で書かれた本で
とっても優しい語り掛けになっています。
いわゆる新書のような文体の本が苦手な方でもさっくり読めますよ!
 
 
におすすめの入門書です。
 

ジェンダーって何?

ジェンダー」とは体の性別(sex)に対して、社会的・文化的に作られる性別を指します。
「男の子なんだから泣いちゃダメ!」とか
「女の子なんだからお料理はできなきゃ~」みたいなもののことです。
 
 
この「ジェンダー」、簡単に言うと性別による役割分担によって
実は私たちの生き方はかなり制約を受けています。
 
 
ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた-あなたがあなたらしくいられるための29問」ではこうした「ジェンダーの当然」とされていることに疑問を投げかけながら
どうすれば自分らしく生きられるのかを考えていきます。
 
その中のキーワードの一つがフェミニズムです。
 
 
 

フェミニズムは「男性より女性を!!」と叫ぶ運動?

フェミニズムが大きくバッシングされるその理由の一つが
”女性の権利拡大”を主張する人達と認識され、
男性にとっては「男性を不利な状態にするもの」「男性の権利を阻害するもの」と
認識されてしまうことかと思います。
 
 
これについて「20.管理職の女性を30%にするって、女性だけを優遇する逆差別じゃない?」というセクションでこの様に触れられています。
 
 
「男性が不利になるのでは」との意見もありますが、これまで男女で異なっていたスタート地点をそろえたり、片方のみに多く置かれていた障害物を取り除いたりすることで、両者が対等に参加できるようにするための取り組みととらえるのが適切でしょう。
(引用元: 「ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた-あなたがあなたらしくいられるための29問」p129)
 
 
つまり、男性が有利になる様に女性側に置かれていたハードルを取り除きますねという意味合いです。女性が男性より有利になる様にしましょう!という主旨ではないのです。
 
 
 

男だって「男」というだけで不利なんだ!!という話

 
勿論「男だって男でいるからこその辛さもある!!」という主張も当然です。
 
この手の話になると男性の自殺率が女性より高い、という話が出てきますが
例え自殺を選ばなかったとしても、この社会から男性が受けるプレッシャーは相当なものだと思います。(女性とは違った意味で)
 
 
男性は
  • いい学歴であること
  • 安定した仕事(高い年収)に就いていること
  • 家族を養うこと
  • 死ぬまで働くこと
 「当然成し遂げるべきこと」がはっきり決められていて、
実現できていなければ激しい風当たりにさらされることも少なくありません。
 
安定した職に就くことと結婚には密接な関係がありますから
ひとつのステップに躓いたらその先にいけない…
たった一つの失敗で「人生終わり」とレッテルを貼られてしまう可能性すらあります。
 
 
一方でこうした性別による役割の固定は実は女性差別の裏返しでもあります。
 
男性が求められる役割に対し
女性は
  • 男性より低い学歴であること
  • 職場では出世づらい(安い賃金)地位にいること
  • 家族を支えること
  • 必要に応じて仕事を辞めること
などが求められています。 
 
 
それぞれの性別に対する役割を固めてしまうことによる弊害は
男女どちらの方向にも発生しています。
 
言い換えれば、女性への差別を是正することは男性への差別を是正することであり、
男性への差別を是正することは女性への差別を是正することに繋がるのです。
 
 
勿論「ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた-あなたがあなたらしくいられるための29問」では男性が受けている性差別にも触れています。
もっと男性視点で考えを深めたい場合は「男子が10代のうちに考えておきたいこと」(著:田中俊之)もおすすめです!
 
男子が10代のうちに考えておきたいこと (岩波ジュニア新書)

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このブログでは「女だけじゃなく男も苦しんでるんだ!!」という人向けにこんな記事も書いています。⇒「40過ぎで結婚していないのはおかしい」を作ったのは誰か - 孤独な私がおしゃべりしたい時間
 
 
 

まとめ 「クソフェミ」かどうかより「性差別を無くす気があるか」知りたい

Twitter上には男を叩きたいだけのやつがいるじゃないか!!」と言われたら
納得せざるを得ない部分があるのも、事実です。
 
 
SNSは議論に向かないと考えているのでそもそも論に入り込んでしまいますが、
そこを除いても感情的に互いの性をバッシングする勢いはまだまだ強いと思います。
定義通りの「フェミニスト」でなくてもフェミニストを名乗っている人もいるかもしれません。
 
 
 
それでも忘れないでいたいのはフェミニストの本来の目的は
女性の"権力拡大"ではなく、目線を同じにしたいという意思です。
そして男性への性差別も同様になくしていくべきものなのです。 
 
  
 
気になった方は是非「ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた-あなたがあなたらしくいられるための29問」、読んでみてください。 
 ここまで読んでくださってありがとうございました。